【皮膚科医 監修】赤ちゃんの日焼け止めについて 必要性や選び方、使い方を解説
この記事でわかること
- 赤ちゃんのデリケートな肌を守るために、日焼け止めを使用することが推奨されています。
- 赤ちゃんには、アルコールなどを含まない低刺激で紫外線散乱剤タイプの日焼け止めがおすすめです。
- 赤ちゃん用の日焼け止めは、外出の15~30分前にたっぷりと塗りましょう。
「赤ちゃんに日焼け対策って必要?」「赤ちゃんのUVケアの選び方やポイントを知りたい」と悩まれてる方も多いようです。デリケートな赤ちゃんの肌を守るために、日焼け対策の必要性、赤ちゃん用の日焼け止めの選び方・使い方、スキンケアのポイントなど解説します。
皮膚科専門医・アレルギー専門医
安本 美奈子先生
いりたに内科クリニック、ミルディス皮フ科院長として皮膚科・小児皮膚科診療に従事。山梨医科大学(現山梨大学医学部)卒業後、日本医科大学皮膚科学教室、成育医療研究センター病院などで小児皮膚疾患の診療を経て現職。日本皮膚科学会・日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚免疫アレルギー学会・日本美容皮膚科学会・日本アレルギー学会に所属。
【目次】
赤ちゃんの顔に日焼け止めは必要?
赤ちゃんに日焼け止めは必要です。赤ちゃんの肌はデリケートで、成長途中で弱いため、日焼け止めなどによる紫外線対策が大切です。「日焼け止めを塗るとかえって負担になるのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、赤ちゃんの肌にとっては日焼け止めを塗らないことのほうが負担になります。
赤ちゃんの日焼け止めの必要性について詳しくはこちら赤ちゃんに日焼け止めを塗らないと起こる肌トラブル
日本小児皮膚科学会では、日焼け対策を怠って紫外線をたくさん浴びると、以下のようなおそれがあるとしています。
- しわやしみなどの皮膚老化を早める
- 将来、皮膚がんを起こしやすくなる
- 目の病気(白内障や翼状片、網膜のメラノーマというがんなど)を起こしやすくなる
紫外線散乱剤タイプのものを選ぶ
赤ちゃん用の日焼け止めは、紫外線散乱剤タイプの日焼け止めがおすすめです。
日焼け止めの成分には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類があります。
- 紫外線吸収剤(ケミカル):紫外線を熱などのエネルギーに変換して肌を守る成分
- 紫外線散乱剤(ノンケミカル):物理的に紫外線を反射させたり散乱させたりする成分
赤ちゃん用や子ども用の日焼け止めは、多くが紫外線散乱剤のみを配合したものとなっており、「ノンケミカル」や「紫外線吸収剤フリー」などの記載があります。
大人用の日焼け止めは散乱剤と吸収剤の2つを組み合わせて配合されているものが多いため、赤ちゃんには負担が大きいおそれがあります。紫外線吸収剤は散乱剤に比べ、日焼け防止効果が強い一方、肌への負担が大きいというデメリットもあります。
【紫外線防止剤の作用と物質名】
特徴 | 主な成分 | |
---|---|---|
紫外線吸収剤 | ・化合物が紫外線を吸収して皮膚へ紫外線が届くのを防ぐ ・特異的な吸収波長がある(UV-B吸収剤、UV-A吸収剤) ・皮膚に塗った時に白く見えづらい ・まれにかぶれる | ・メトキシケイヒ酸オクチル(あるいはメトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
・ジメチルPABA オクチル(あるいはジメチルPABA エチルヘキシル) ・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなど |
紫外線散乱剤 | ・粉末が紫外線を吸収 ・散乱して皮膚へ紫外線が届くのを防ぐ ・酸化亜鉛はよりUV-Aを、酸化チタンはよりUV-Bを防ぐ ・吸収剤に比べ、皮膚に塗ると白く見える | ・酸化亜鉛
・酸化チタンなど |
SPF値やPA値を参考にして選ぶ
赤ちゃんのデリケートな肌を紫外線から守るために、紫外線をしっかりとカットできる赤ちゃん用の日焼け止めを選びましょう。製品により日焼け防御効果が異なりますが、効果の目安になるのが、SPF・PAなどの数値です。
- SPF: UV-Bを防ぐ効果の持続時間の指標
- PA: UV-Aを防ぐ効果の持続時間の指標
SPF・PAの値が高い製品ほど紫外線を強力にカットしてくれるイメージを持つ方も多いようですが、SPF・PAの値はUVの防御効果の高さではないことに注意が必要です。
SPF・PAの値が高くなるほど、赤ちゃんの肌に負担がかかりやすいと言われています。日常使いの場合は、SPF15~20、PA+程度のもので問題ありません。海や山に行くときはSPF20~40、PA++~+++程度を目安に日焼け止めを選びましょう。
また、一部の赤ちゃん用日焼け止めにはSPF・PA値の記載がないものもありますが、その場合は製品説明などを確認して、紫外線から肌をきちんと守れる製品を選びましょう。SPF・PA値の表示のないものでも、一定時間日陰に入るたびにUV防御効果がリセットされる日焼け止めもあります。製品説明などを確認して、紫外線から肌をしっかり守れる製品を選びましょう。
肌に刺激を与える成分が含まれていないものを選ぶ
赤ちゃんの肌は大人よりも薄くデリケートなため、アルコール・合成香料・合成着色料・鉱物油など、肌に刺激を与える可能性がある成分を含まない日焼け止めを選びましょう。赤ちゃんの肌は敏感であるため、添加物などが肌への刺激になるかもしれません。そのような場合を想定して、アルコールなどの添加物を含まず、無香料・無着色の表示のあるものを選びましょう。
ウォータープルーフタイプのものを選ぶ
汗や水に強いウォータープルーフタイプの日焼け止めなら、汗をよくかく赤ちゃんにも安心です。とくに夏の暑い季節や、水遊びや海水浴、プールなどのアクティビティを楽しむときには効果的です。
ただし、ウォータープルーフタイプの日焼け止めは、落とすためにクレンジングが必要なものもあり、赤ちゃんの肌に負担をかけてしまうため、石けんだけで落とせるタイプを選びましょう。
日焼け止めのタイプ(テクスチャー)で選ぶ
赤ちゃんの日焼け止めには、ローションやミルク、クリームなどさまざまなタイプがあります。使い心地や使用シーンに合わせて選ぶようにしましょう。ここでは、主に以下3つの日焼け止めのタイプをご紹介します。
それぞれの日焼け止めには、汗や水に強いウォータープルーフタイプや、虫除け対策も一緒にできるものもあります。使用シーンに応じて、最適なタイプを選んでください。
ミルクタイプ
ミルクタイプの日焼け止めは、乳液のような柔らかいテクスチャーで、肌に優しくなじみます。商品名に「サンスクリーンミルク」などの名称がついているものが該当します。
ミルクタイプの日焼け止めは保湿効果があり、乾燥しがちな赤ちゃんの肌にも適しています。軽い使用感で、敏感肌にも安心して使えるのが特徴です。
クリームタイプ
クリームタイプの日焼け止めは、ミルクタイプよりもしっとりした使い心地です。肌に密着しやすいため、長時間の外出時にも安心して使用できます。ただし、落としにくい日焼け止めもあるため、注意が必要です。
ミストタイプ
ミストタイプの日焼け止めは、みずみずしいテクスチャーで、肌にすっとなじむのが特徴です。ベタつきが少なく、外出先でも手軽に使えます。ただし、顔に吹きかけると、赤ちゃんが誤って吸い込んだり、目に入ったりするおそれがありますので、使用方法に注意しましょう。
日焼け止めのタイプと、赤ちゃんにおすすめのタイプについてはこちらで詳しく解説しています。
赤ちゃんに日焼け止めを塗り始める時期は?
赤ちゃんに日焼け止めを塗るのは、生後3~4か月頃からがおすすめです。生後3か月未満の新生児・赤ちゃんは、肌が成熟しておらず日焼け止めの使用が負担になってしまう可能性があります。
また、生後3か月ころまでは、汗腺の機能がきちんと発達していません。皮脂の分泌量も多くなっているため、日焼け止めで肌に蓋をしてしまうのはあまり良くないと考えられています。
赤ちゃんに日焼け止めを使うまでは直射日光を避ける
紫外線は午前10時から午後2時までが最も強くなるため、その時間帯の外出は避けるとよいでしょう。その時間帯に外出する場合は、20分以上の日差しを浴びると肌へのダメージが大きくなると言われるため、長時間の外出を避けることをおすすめします。
日差しが直接当たらないように、木陰や建物の日陰に入ることも効果的です。日陰では紫外線を約50%カットできるといわれています。
また曇りの日でも、晴れの日の約80%の紫外線が出ていることから、日焼け対策を怠らないようにしましょう。
日焼け止め以外のUVケアも活用する
紫外線遮蔽率が高いUVカット素材の服装を選ぶことで、紫外線による肌への刺激を少なくできます。帽子・長袖の上着・アームカバー・レッグカバーなどは、紫外線が肌に当たるのを防ぐのに効果的です。ただし暑い時期に着用していると赤ちゃんも暑さを感じやすくなるため、室内に入った時にすぐに着脱できるタイプのものをおすすめします。
服装以外にも、ベビーカー用の日除けカバーや日傘も紫外線対策となります。車内にも日差しがあたるため、UVカットフィルムやカーテンも用意できるとよいでしょう。
赤ちゃん日焼け止めの顔への塗り方
日焼け止めを上手に使って、大切な赤ちゃんを紫外線から守ってあげましょう。ここでは、赤ちゃんの日焼け止めを使うときのポイントを紹介します。
1. 日焼け止めは外出15分前に塗る
日焼け止めが肌になじむまでに時間がかかります。そのため、外に出る15~30分前を目安に日焼け止めを塗りましょう。
2. たっぷりとむらなく塗る
日焼け止めの効果を十分に発揮するため、たっぷりと塗ってください。すり込むのではなく、全体に薄くのせるように塗りましょう。とくに首や耳の後ろ、胸元、背中、手の甲も日焼けをしやすい部位ですので、塗り忘れのないようにしましょう。
赤ちゃん用の日焼け止めには、薄塗りでも効果を発揮できる製品もあります。赤ちゃんに塗る日焼け止めの量を抑えたい方は、薄塗りタイプの日焼け止めを選ぶとよいでしょう。
部位 | 塗り方 |
---|---|
顔 | 1.クリーム状に出るタイプの日焼け止めはパール1個分、液状に出るタイプは1円硬貨1個分を手のひらに取る。
2.額、鼻の上、両頬、あごに分けて置き、そこからまんべんなく、塗り伸ばす。 3.もう1度同じ量を重ねづけする。 |
腕や脚などの体 | 容器から直接、直線を描くように、均一にむらなく伸ばす。 |
2~3時間を目安に塗りなおす
日焼け止めは、どんなに丁寧に塗っても汗をかいたり衣類でこすれたりすることで落ちてしまいます。そのため、2~3時間おきに塗り直すようにしましょう。
ハンカチやガーゼなどで皮膚の汚れなどを拭き取った場合は、日焼け止めも一緒に落ちている可能性があるのでその都度塗り直すのが理想です。
日焼け止めの落とし方
赤ちゃん用の日焼け止めの多くは、ベビー用の石けんやお湯でも落とせるように作られています。日常使い用の日焼け止めなら、クレンジング不要のものがほとんどでしょう。
赤ちゃんのデリケートな肌に負担をかけないようゴシゴシこすらずに、ベビー用石けんやお湯でやさしく洗い流しましょう。
また、クレンジングは、赤ちゃんの肌を保護するのに必要な皮脂まで落としてしまうため、負担をかけやすくなります。そのため、クレンジングの使用は控えるほうがいいでしょう。
赤ちゃんは適度に日光を浴びることも大切
紫外線対策に取り組むことは重要ですが、適度に日光を浴びることも大切です。ビタミンDはカルシウムを腸から吸収するために必要なビタミンです。ビタミンDは、日光(紫外線)が皮膚に当たることで、有効なビタミンDへと変化します。
近年では日焼けを避ける傾向があるため、お母さんのビタミンDが不足しがちになり、母乳に含まれるビタミンDも不足してしまうことも。ビタミンDが極端に不足すると、骨や歯が弱くなると考えられています。そのため、こまめに日陰で休憩や水分補給しながら、適度に外出して日光浴を行うようにしましょう。
赤ちゃんに日焼け止めを正しく使って紫外線から守りましょう
日光を適度に浴びることは重要ですが、UVケア対策やスキンケアを怠ると、赤ちゃんの将来の肌に影響を与える可能性があります。そのため、日焼け止めは適切なものを選び、正しく使って、赤ちゃんを紫外線から守ってあげましょう。
※出典元
記事はここまで
ミキハウスUVカットミルクのラインナップ
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容量:18 ml
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UVカットミルクMH
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UVカットミルクMH
容量:52 ml
9,900円 (税込)
※容器は異なっても、中身はまったく同じ配合成分です。
ミキハウスUVカットミルクの詳しい説明商品特徴
さらっと軽いつけ心地で紫外線をしっかりカット
オリジナルUV防御成分「酸化チタン(Yチタン)」が、有害なUV-A波、UV-B波を効果的にしっかりと遮断することで、お子さまの肌を紫外線から守り、日焼けを防ぎます。
一定時間日陰に入ればUV防御効果がリセット
酸化チタン(Yチタン)は、紫外線の熱を吸収しつつ火照(ほて)りにくいだけでなく、日陰に入るとUV防御効果がリセット。こまめに塗りなおす必要がありません。敏感肌の大人の方にも一緒にご利用いただけます。
肌へのやさしさを考えたこだわりの低刺激処方
植物由来のセラミド成分を含む「パイナップル果実エキス」と保湿成分「ヒメフウロエキス」を配合、肌あれを防ぎ、皮膚をすこやかに保ちます。肌に適度な水分と油分を補い、皮膚を保護します。
※パッチテスト済み。
※すべての方に皮膚刺激が発生しないということではありません。
汗や水に強いウォータープルーフタイプ
海やプール遊びにも最適。石けんで簡単に落とせます。塗ったことがわからないくらい薄塗りでべたつき感がありません。